最後に

今から250年前、私の7代前の先祖である井口長吉は、越中藩士として下禄を食んでおりましたが、後由あって官を辞し江戸に出ました。役人のみじめな話 の所で案外長吉が官を辞した理由はこんな所にあったのかもしれません。この長吉は槍一筋の武家で、江戸に出て商才があったのかその花が咲き、巨万の富を得、後子供の待つ今の富山市肘崎村に帰りました。
当時の北陸は打ち続く天災地変や大洪水に悩まされておりました。そこで、飢饉や上に苦しむ多くの村人をその財で救う基を造りました。この長吉という人は武士の魂であるその槍で北陸の飢饉と言うくらい闇を突き生涯を終えたのでしょう。 しかし、私はひるがえって 考えるに今患者をあまりにもバカにしたあくどい何千とある民間療法という名の暗闇に潜み蠢くハイエナや狼を、たった30円のボールペンで突こうとしているのか。それとも己の心の中にある医療への闇、邪気を突こうとしているのか。

長吉の槍いまだ錆びず